ヒューマンインタフェースとダグラス・エンゲルバート
- しばらくは放送大学の講義で取り扱った ヒューマンインタフェース の参考文献等を中心に掘り下げていく
ヒューマンインタフェースとは
Section titled “ヒューマンインタフェースとは”- インタフェース … 性質が異なるものを接続する部分
- マンマシンインターフェース … 人間と機械の接続部分
- ヒューマンコンピュータインタフェース(ヒューマンインタフェース、HCI) … 人間とコンピュータの接続部分
- インタラクション性があることが多く、入力と出力の両側面を持つ
モチベーション
Section titled “モチベーション”- これまでにも奇を衒ったヒューマンインタフェースを実装した作品多く発表してきた
- Xen (2019)
- 人間からコンピュータに揺れを入力
- コンピュータから人間に電流を出力
- Saunil (2022)
- 人間からコンピュータに仰ぐ動作を入力
- コンピュータから人間にミスト、熱、風を出力
- 堪忍袋チクチクチクンレース (2023)
- 人間からコンピュータに悪口を入力
- コンピュータから風船に力を与えて人間に音を出力
- Qiboard (2023)
- 人間にグローブをはめ、コンピュータに指の折れ情報を入力
- コンピュータから人間に音を出力
- ハートフルランナー聖 (2024)
- 人間からコンピュータにメッセージを入力
- コンピュータから人間にQRコードを出力
- 上記を繰り返す
- 人間がメディア装置となり、メッセージを伝える役割を果たすというのが面白さ
- 他の作品とは方向性が少し異なる
- Smahorn (2024)
- NFCをカメラで読み取り、コンピュータに音階を入力
- コンピュータから人間に音を出力
- Xen (2019)
- ヒューマンインタフェースは物理現象を元に多彩な表現をできる可能性を秘めている
- ヒューマンインターフェースは分かりやすく人間に瞬間的/中長期的なインパクトを与えられる
- ソフトウェア〜ハードウェアまで幅広い領域にまたがっており、歴史的にも様々な研究や商品化がされているため、サーベイしがいがある
- これらの理由から、今後もこれまでの流れを組むような作品をより膨大な知識に裏付けされたより高いレベルで実現させていきたい
- ヒューマンインターフェースの裏側にはメディアやゲーミフィケーション、ゲームフルデザインの思想や論理が隠れていると感じているので、このあたりもゆくゆくは調査していきたい
ダグラス・エンゲルバートのサーベイ
Section titled “ダグラス・エンゲルバートのサーベイ”- ダグラス・エンゲルバート
- 1925年〜2013年
- マウスの発明者
- GUIの原型の開発者
- ARPANETの参加者
- チューリング賞受賞者
- 1925年 アメリカで誕生(血筋的にはヨーロッパ系)
- 1944年〜 アメリカ海軍に入隊(第二次世界大戦)。レーダー技師として働く
- 1945年 ヴァネヴァー・ブッシュの論文「As We May Think」を読んで感銘を受ける
- 「As We May Think」は情報の整理・検索の未来についてとその中核を担うMemexという概念について述べた論文
- 〜1948年 オレゴン州立大学で電気工学の学士号取得
- 〜1951年 アメリカ航空諮問委員会(NACA)で働く
- NACAは後のNASA
- 〜1953年 カリフォルニア大学バークレー校大学院の電気工学科で修士号取得
- 〜1955年 カリフォルニア大学バークレー校大学院の電気工学科で博士号取得
- 1957年 SRIインターナショナルに入社
- SRIインターナショナルは元々はスタンフォード大学の研究機関(後に独立)
- この頃まではまだコンピュータサイエンスを学習・研究していたわけではなかった
- 1962年 「人類の知性の増強: 概念的フレームワーク」というレポートを発表
- ダグラス・エンゲルバートのヒューマンインターフェースに対する思想についてまとめたもの
- コンピュータを使って人間の知性を増強するためにはインタラクティブな仕組みが必要だと説いている
- 当時のコンピュータはパンチカード等を入力としたバッチ処理が主流だった
- 1963年 オーグメンテーション研究センター(ARC)を設立
- 先述の発表により、ARPAから予算がつき、SRIインターナショナル内に設立
- 1964年 マウスを発明
- ダグラス・エンゲルバートが構想を練り、それを元にビル・イングリッシュが設計・開発
- 1968年 oN-Line System(NLS)を発表
- 世界初のインタラクティブなコンピュータシステム
- ハイパーテキスト、マウスによる操作、ウィンドウ、ネットワーク機能、ビデオ会議機能
- これが発展して現在のGUIとなっていく
- このときのデモが「すべてのデモの母」と言われている
- 1969年 ARPANETの通信に参加
- カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)からARCへ最初のメッセージが送られた
- 1970年〜 ARCがNICになる
- 世界初のネットワークインフォメーションセンター(NIC)
- ARPANETの管理・運営やRFCの発行
- 1970年代〜 Augmentの開発
- NLSの後継システム
- 1977年 ARCの事実上の解体
- 多くの社会的背景から資金難に陥る
- 多くの研究者がXeroxのPARCに移籍
- 1980年 Tymshare社に売却
- 1988年 Bootstrap Instituteを設立
- 娘のクリスティーナ・エンゲルバートと共に設立
- 彼のアイデアに基づいたセミナーの開催
- 1990年代 Bootstrap Allianceを設立
- Bootstrap Instituteの活動を拡大するための企業や研究機関との協力を推進するための組織
- 1997年 チューリング賞を受賞
- ヒューマンインターフェースの発展への貢献が評価された
- 2005年〜 HyperScopeの開発
- NLS/Augmentの後継システム
- 2013年 腎不全で逝去(88歳)
今後サーベイしたいこと
Section titled “今後サーベイしたいこと”- Bootstrapping Strategy
- ヴァネヴァー・ブッシュ
- As We May Think
- Memex
- CALDIC
- 人類の知性の増強: 概念的フレームワーク
- ビル・イングリッシュ
- oN-Line System
- Interface Message Processor
- Augment
- HyperScope
- アイバン・サザランド
- テッド・ネルソン
- Hypertext Editing System
- マウスの父、ダグラス・エンゲルバート氏インタビュー ~過去の点を結んだ線は、未来に渡る橋になる
- Web思考プロセッサ HyperScope 1.0 - Douglas Engelbart博士のアイデア結実
- コンピューターの個人化 と Douglas Carl Engelbart (ダグラス・エンゲルバート)を超えて